彫り屋の裏話

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 TOP > 彫り屋の裏話 > 六章
 


ホームセンターで買ったアガチス材では、どうも納得いかない。
そこで、木札の材料には何が良いのか?しばらく考える日が続く。
店長の私、本業は配送業(早い話トラック屋)であり、一日に数百キロ走るのだが、ふと目にとまった看板。

銘木!? おっこれだ!
数日後、銘木店のドアを叩き、銘木って材を初めて目にした。
この時担当してくれたのが社長の息子さんなのだが、後々息子さんが結婚するときに引き物として、彫り屋の木札が提供されることになるとはまさか思わなかった。
人相の宜しくない私の印象は悪かっただろう。
初めのての注文で色々な事を訪ねた。
木札にする材を探している、名前を彫ったりするのに強くて欠けない材
そして味わいがあり、本職の方がお勧めの材は何か?切断賃は?等しつこいくらいに聞いた。
で、決まったのが【欅】
実は仕入れ先のこの銘木店、神社仏閣に使用する材料を扱う山梨県随一の店で、家具も自ら作り販売している玄人中の玄人だった。
材の木目は同じ物はない、堅くて強い、神木として古来から日本で珍重されている、乾燥も数年以上、これ以上の材が他にあるだろうか?
確かに欅を小さくし木札にするとなると苦労が伴う、でも、それ以上に同じ木目がない事に惹かれたのである。
人間ってやつは他人と同じ物を持ちたがるが、ソックリな物では妥協しない生き物。
その上、一見同じに見えても違うところがあった方が好まれるし、欅が生きてきた証になると思った。
将棋の駒の様に全て同じ物に美しさを感じるのであれば黄楊などを用いるのだが、名前を彫る木札を作りたい。
人の名前がそれぞれあるように、材にも一つ一つ個性があることが、作り手としての気持ちを駆り立てた。
自然界に置いて木目も色も同じ物は存在しない材、これは人間にも当てはまる。
この特徴を持ち合わせ他に類を見ない特徴を持った【欅】という材に
惚れ込んだバカ親父。
次はどうなるのか?
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